経済連携協定(EPA、FTA)を利用しないと売上ダウン

経済連携協定画像貿易の仕事

自由貿易協定、経済連携協定とは?

各国や地域でFTA(Free Trade Agreement =自由貿易協定) やEPA(Economic Partnership Agreement=経済連携協定) を結んでお互いの国が協力し合い、貿易や経済を発展させていこうとするものです。

FTAは貿易の自由化、主に関税の撤廃を目的とした協定で、EPAはFTAの貿易の自由化に加え、投資規制の撤廃、人的交流の拡大、知的財産の保護、各分野での協力の要素等を含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定です。

FTA、EPA共にどちらも貿易で関係してくるのは関税の撤廃の部分です。

日本との締約国、地域は?(2021年1月現在発効済み)

2021年1月現在は未発効ですが、RCEP(ASEAN10か国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)と日本、中国、韓国、豪州及びニュージーランドが加わった大規模な地域協定の署名が2020年11月に行われ、各国、発効に向けて準備が開始されています。実際に協定が始まる(発効)期日については現在のところ未定ですが、中国、韓国との経済連携協定が始まることに注目が集まっています。

これらの協定は、お互いの国、地域は、関税の撤廃を行うことを基本としていますが、それぞれの自国の産業を守るため譲れない品目もあり、撤廃を行わない、或いはある程度の関税率まで引き下げるなどといった合意内容もあります。

協定のある国、無い国では輸入税率の違いが出てくるため、協定があれば有利な価格で市場に流通させることができます。売上UPのチャンスです。

また、協定のある国でも企業によっては、この制度を利用していないケースがあり、その場合、競争力を失い売り上げダウンにもつながります。

実際に関税がどう変わるか?

輸入国ではどの国からの製品に対しても同じ関税率を適用しますが、経済連携協定を結んでいる国の製品に対しては、基本的には無税にすることを目的としています。

上の黒板の例では、経済連携協定を利用すれば通常20%の関税がかかるところ無税で輸入することができる為、輸入国内では有利な価格で販売が可能となります。販売が伸びれば、日本からの輸入が増え日本製品の市場拡売につながります。同じ日本からの輸出であっても製品の競合先が経済連携協定を利用していなければ、自社製品のシェアアップにもつながります。裏を返せば経済連携協定を利用することができないと競争に勝てないと言うことなります。

経済連携協定(EPA、FTA)をする上で重要なこと

経済連携協定は、締約した国、地域の原産品に対し関税率の撤廃を行い、お互いの国、地域での貿易取引を盛んにすることを目的としています。

そこで基本となることは、協定を締結した国、地域で生産された原産品であるということです。

原産品であることの証明は、経済連携協定(EPA、FTA)用の原産地証明書があり、日本では政府指定発給機関である日本商工会議所が発給しています。これを特定原産地証明書と言います。

また、政府の発給によらない自己証明と呼ばれる製造者、輸出者、輸入者などがインボイスや別紙に原産品である事を宣言する形式のものがあります。

この証明書がなければ、輸入国税関は経済連携協定で決められた税率の適用を認めてくれません。
証明書は、協定で定められた原産地規則により、原産品であると判定された結果に基づき発行されなければなりません。

また、原産品であると判定されたものでも、協定では「積送基準」というルールがあります。
原産品を輸送する際に協定締結国以外の第三国を経由する場合は、その経由国で製品に原産地性が失われるような作業や加工がおこなわれる可能性があるため、経由国の税関による原産性が失われていないことを証明する書類が必要となります。

なお、船便の都合により、積み替えの目的で第三国を経由する場合は、船会社との運送契約書(船荷証券など)で原産地性が失われていないことを証明することができます。

最後に重要なのは、原産品と判断した根拠資料の保管です。輸入国の税関が原産品の判定に疑問を持った時、資料の提示を求めてくる場合があります。
経済連携協定では、これらの書類を一定期間保管することが義務づけられています。




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