貿易は基礎を覚えてしまえばルールに従って取引先と契約をしてを輸出入の手続きを進めるだけなので難しいのもではありません。
でも、国内取引との違いをよく理解して進めることがはじめの一歩となります。
リスクをよく理解してリスクをマネージメントすることで海外との取引がスムーズに行えます。
国内取引との違い
国が違う相手との取引
国が違えばルールや考え方も様々です。
商習慣の違いで代金が回収できない事や、日本では普通に売られている商品がその国の法律で輸入できないことがよくあります。
契約した商品の規格を正確に測定して輸出したのに輸入国の測定機器の基準が日本と違っていたため、規格外となり受け入れ拒否されるようなこともあります。
規格を測定するような場合は、測定機器の基準を両者で合わせておかないとトラブルの原因にもなります。
食品などは日本で認められている添加物が輸入国ではアウトだったり、残留農薬の基準が違っていたりして輸入できなかったこともあります。
商品毎の特性をよく知り、リスクをミニマイズすることが重要です。
輸入者が自国の法律、規制をよく理解して取引を行うことが基本ですが、輸出側としても注意が必要な事項には、輸入者と情報を共有して進めることがトラブルの回避につながります。
取引通貨が違う
アジア諸国の取引先は日本円で取引に応じてくれるケースがありますが、多くの取引は米ドル、ユーロなどの外国通貨です。
輸出で代金を外国通貨でもらった場合は銀行に手数料を支払って円に交換してもらわないとなりません。
輸入で代金を支払う時も同様に円を外国通貨に交換してもらわなけれなりません。
もちろん外国通貨のまま持っていることもできますが、日本国内では、外国通貨を円に換算して会計処理を行うため、為替レートの変動が損益に影響します。
外国通貨建の売買契約をした時点から代金決済までのタイムラグで外国通貨と円のレートが大きく変動すると、為替差益として儲かることもありますが、往々にして悪い方向に進み為替差損となり、せっかくの取引がマイナスとなってしまいます。
為替の変動を放っておくと大きなリスクにつながりますので、契約が決まった時点で銀行に為替の予約を行うことが鉄則です
商品と代金の交換が難しい
日本国内であれば、お店で買い物をするように商品と代金をその場で交換したり、通信販売であれば代引きといった、売り手も買い手もお互いリスクがない取引が可能ですが、貿易は商品を取引先に納品するまでに時間がかかります。
売り手としては代金をもらってから船や飛行機に載せたいと考え、買い手としては商品を受け取ってから代金を支払いたいと考えるのは当然です。
長年付き合いのある取引先や、信用がある会社同士であれば、どちらかが折れて代金を前払い、あるいは代金は後払いで契約ということになりますが、通常は「商品が先」か「代金が先」かということでもめることがよくあります。
貿易取引ではお互いリスクをミニマイズできる取引条件が準備されていますので、それを利用することで商品と代金の交換リスクが低減できます。
輸送期間が長い
飛行機であればそれほど時間はかかりませんが、多くは船の輸送です。
輸送期間は、アジア諸国であれば長くて2週間程度ですが、1ヵ月以上もかかる地域もあります。
長ければ長いほど輸送中の商品のダメージ、船のトラブル等のリスクが大きくなります。
輸送中に事故が起こった場合、どちらの責任であるかをきっちり契約で決めておくことと、万が一の事故に備えて貨物に保険を掛けておくことが重要です。
インコタームズ(INCOTERMS)といわれる国際的な貿易条件を契約に盛り込むことで責任の所在が明確になります。
インコタームズについてはこちらへ
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